コップの水と発達段階
東大受験を題材にした漫画「ドラゴン桜」でも取り上げられたことがあるのですが、スイスの心理学者「ジャン・ピアジェ」が提唱した「認知発達理論」について紹介したいと思います。
簡単にいうと、子供の発達には段階があり、大きく4つに分類できるという理論です。
- 感覚運動期( 0〜2歳)他者と自分を区別できる。ものの形や役割を認識。物事を予測できる。
- 前操作期(2〜7歳)自己中心的。保存性は未発達。アミニズム的(物を擬人化して考えるなど)
- 具体的操作期(7〜11歳)脱自己中心的。保存性の習得。論理的思考が発達。
- 形式的操作期(11歳〜)抽象的思考が可能。知識経験を応用し、仮説を立て、予測し、行動発言。
それぞれのより具体的な内容は、ぜひネットなどで調べてみて欲しいなと思います
この中で、小学生年代の指導で注意しなければならないのが
❶前操作期と❷具体的操作期の切り替わり
です。
前操作期の子の特徴
- 自己中心的で、平気で友達を傷つける(相手がどう思うかを想像できない)
- 「自分が知っている、できること」は、当然相手も知っているし、できると思っている
- 非生物にも思考や感情があると思い込む
- 論理的思考ができないので「〇〇したら□□ になる」という考え方が苦手
- 親がどう思うか、何を願っているか、どうして欲しいかなどが想像できない
具体的操作期の子の特徴
- 自己中心的ではなくなる。
- 保存の概念があるので「経験」を活かせる
- 「相手がどう思うか」を考えて、行動や発言ができるようになる。
- 比較ができるようになる
- 親の気持ちや考えを理解しできるようになる。
子供の状況を理解すること
例えば、まだ「前操作期」の段階の子供に、
- 相手の気持ちを考えることを期待しても、まだできません。
- 以前教えたことでも、それを活かして行動できません。
- 自分の行動がどんな結果を生むか、なかなかイメージできません。
- 悪気があるわけでなく、平気に人を傷つける言葉を発します。
- 決められたルールをなかなか守れません。
- 善悪に関係なく、当たり前に「嘘」をつきます。
なので、それらを指導者や保護者が教え、求めたとしても
本人はどうして良いかわからず、苦しさしかない
ということになります。
なので、この発達段階を大人が「知識として知って」おくことがとても大事で、その上で
今はまだこの段階だから、それはそう考えるよね、当然だよね
と慌てず、ゆったり構えて欲しいなと思います。
コップの水でチェックする方法
子供が今、どの段階なのかをチェックする方法として「コップの水」という方法があります。
- 2つの同じ形のコップを用意して、同じ量の水を入れ、それを子供に見せる
- 片方のコップの水を、幅の広いコップに「子供の目の前」で移し替える
- 移し替えたコップの水位が変わる
- 子供に「どっちの水が多い?」と聞いてみる
- 前操作期の子供は「水位が多い方」を選ぶ
- 具体的操作期の子供は「同じ」と答える
漫画・ドラゴン桜の中で紹介されている方法ですが「物事の前後を関連づけて考えることができるか?」をチェックするとてもユニークな方法です。
段階には個人差がある
この発達段階の切り替わりは、個人差があります。
決して早ければ良いというものではありませんし、遅い方が後々思考力が伸びるというデータもあります。
6歳で切り替わる子もいれば、11歳で切り替わる子もいるかもしれません。
なので、切り替わりが遅いからといって焦る必要はなく
この子は今、この段階なんだな
と見守ってあげて欲しいなと思います。
Youメッセージ・Iメッセージ
少し話は変わりますが、以前、日本メンタルヘルス協会の「心理カウンセラー講座」を受講した際に、2種類のメッセージ伝達法を学びました。
You(あなた)メッセージ
片付けをしてくれて、あなたは素晴らしい
友達のことを大事にしていて、あなたは優しい
いつも一生懸命に練習していて、あなたはすごい
I(私)メッセージ
片付けをしてくれて、私は助かった、ありがとう
友達のことを大事にしていて、私は嬉しい
いつも一生懸命練習していて、私は凄いなと感動している
Youメッセージよりも、Iメッセージの方が相手に伝わりやすく、心を動かしやすいと言われていますので、ぜひ参考にしてみてください。